旅するヴァイオリン vol.37(2/4)
「ブラームス ヴァイオリンとピアノためのソナタ 全曲演奏会」。
ヴァイオリン、白井篤氏、ピアノ 田中良茂氏。
このコンサートの歴史に+αした年月が、すなち私が白井さんの演奏を聴くようになった歴史で、もう足かけ7年になる。ブラームスも何回か聴いているけれど、本当に大好きでおられることが、演奏から伝わってくるし、ブラームスの時には、かなり熱く語られる。
・・・いつの日か「白井篤語録」とかまとめてみようかしらん。もちろん非公開ですけれどね。
お品書きは、ソナタ3曲でございまして。
イギリス館のコンサートは、ほとんど海野春絵氏がピアノを弾いておりましたが、しばらくお休みでありまして、今回は白井さんの旧友である田中氏がピアノ。
これは私の勝手な推測なんですけれど、白井さんのハードスケジュールを思うに、このコンサートは日を設けてのリハはできないんだと思う。いつも開演前にリハをなさってるけれど、それが唯一の合わせで、あとはそれぞれに練習されてるのではないかと。だから、いつも演奏している春絵さんだと、阿吽の呼吸で行けちゃうこともたくさんあるのだと思うのね。
でも、田中氏は今回初めて合わせるとのことで、緊張なさっていましたし、白井さんの方も、ご自分がリードする演奏ということで、いつもとは勝手が違って、こちらも緊張されておられた感じ。だから最初のうち、ところどころにズレがあったんだけれど。
でも。
2012年10月26日 。この日に聴いた「雨の歌(1番)」は、私が今までに出会った中で最高のそれで、ルセフよりも感動した。あの年の個人的ベスト3で、文句なしに1位をつけましたが、今宵もそれがあったんですね。「それ」?ってなんですか?
私の中では、「雨の歌」=「白井篤」、ってことですね。演奏を思い起こそうとするだけで、泣けてきます。クララじゃないけれど、私は白井さんの「雨の歌」を墓場まで持って行きたい。
田中氏は、後半の3番が、少し余裕も出てきて一番よかったような気がします。ピアノの演奏に、男女の肉体的性差があるかはわからないけれど、なんかね、やっぱりどこか違うところあるんですよね。面白いものです。白井さんが男性ピアニストと合わせるの、初めて聴いたんで、そこんとこもちとゾクゾク。
アンコールには何が来るかって、決まっております。
「F.A..E. ソナタ 第3楽章」・・・かなりの圧巻でありました。
終演後「さすがに疲れました~」と仰っていましたけれど、そりゃそうですよね。ルセフも同じプログラムのコンサートをしたことあるけれど、今夜はもうこれ以上は弾けないって、言ってたもんね。
Frei aber einsam この言葉をモットーとしたヨアヒムだけれど、その真の意味はどういうことなのか、もう今となっては憶測でしか語れない。それに対応して Frei aber froh をモットーとしたブラームスの真意もしかり。どっちかと言えば、 Froh aber einsam なことが多いのが世の常でしょ?
でも、ヨアヒムの言葉は、生きている様々な局面で、つきるけられる真実でもある。そんな時、白井さんのブラームスを思い出したら、前を向いていけると思う。
« Du bist richtig war. | トップページ | Dass ist nur er ! »
「音楽・ドイツ語」カテゴリの記事
- N響Bプロ(1/17)(2018.01.19)
- 演奏会のお知らせ(2018.01.17)
- die Richtung aendern(2018.01.12)
- 第846回 定期演奏会Bシリーズ(1/10)(2018.01.12)
- Andiamo Part2 (7/21)(2017.10.18)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2003008/54872564
この記事へのトラックバック一覧です: 旅するヴァイオリン vol.37(2/4):
コメント